代表プロフィール
Profile
社会保険労務士法人 AdjustHR 代表
中野 剛志
Takeshi Nakano
社会保険労務士。大学卒業後、法人営業を3年経験し、社会保険労務士試験に合格。東京(松林労務管理事務所)、名古屋(名南経営)にて各3年社会保険労務士として勤務。人事労務顧問業務、手続き給与計算、規程の作成や改廃、セミナー講師、新聞向け文書の作成、所属税理士向けQA担当者等を経験。
労務顧問では改善できない人事労務の運用、業務改善や効率化、システム導入等を自ら行うため、フィンテック企業へ転職し、人事総務部長職として、労務総務全般を管理。2019年3月より社会保険労務士事務所および人事労務実務の業務効率化・支援事業(AdjustHR)を設立。
interview
なぜ「社会保険労務士法人AdjustHR」を立ち上げたのか?
「社会保険労務士法人AdjustHR」代表、社会保険労務士の中野剛志です。
なぜ、私が社労士を志したのか。
そして、独立して「社会保険労務士法人AdjustHR」を立ち上げたのか・・・。
社会保険労務士法人AdjustHRが誕生するまでの物語を少しだけお話しさせていただきます。
私が新卒で就職したのは、とある鉄鋼商社の営業。3年間勤めた後退職しました。
2011年5月。
20代の若者だった当時の私は、退職を決めたもののその後のことは全く考えておらず、将来まさか自分が社労士事務所をかまえることになるとは夢にも思っていませんでした。
人生最大の猛勉強。3ヶ月で「社会保険労務士試験」合格
そんなある日。
母が偶然持ち帰った「社会保険労務士試験」の募集要項で、私は生まれて初めて「社労士」という仕事に出会います。
「自分ならできる」
不思議とそんなことを思ったのです。
何かピンと来るものがあったのか、若さゆえの自信だったのか・・・
今の私にはわかりません(笑)
残された時間は3ヶ月。
ただ目の前にある大きな山を登ってみようと、何かに取り憑かれたように一心不乱に猛勉強をはじめました。
結果、2011年8月「社会保険労務士試験」合格。
必死に勉強して、掴んだチャンス。あの時の喜びは今でも忘れられません。
しかし、一人前の社労士までの道のりは、決して甘いものではありませんでした。社労士になるには、社会保険労務士試験に合格した後に、全国社会保険労務士連合会の社会保険労務士名簿への登録が求められます。
登録要件は以下の2つ。
- 事務指定講習の修了
- 2年以上の実務経験
東京で社労士の基礎を学ぶ
社会保険労務士試験に合格した翌年の2012年の春。
私は東京のとある社労士事務所へ入社し、見習い社労士として新たなスタートを切りました。従業員数16人。給与計算、社労士として必要な手続き、規程・・・朝から晩まで毎日必死に社労士としての基礎を学んでいきます。
しかし、そうは言っても当時の私は右も左も分からない新人。
社労士の仕事は多岐に渡り、若き日の私は日々悩んでいました。そんな私に先輩はこう言ったのです。
「いいか中野、よく聞け。簡単に役所に問い合わせるんじゃない。あくまでこちらが正しいと判断したことを確認するに留めろ。役所の人間は、決して法律のプロではない。だけど、俺たち社労士はちゃんと社会保険労務士試験に合格しているだろう?もっとプライドを持った仕事をするんだ」
社会保険労務士は、法律で認められた「労働基準法や社会保険に精通したプロフェッショナル」。
この言葉は、当時の私の胸に強く響き、独立した現在も、社会保険労務士法人AdjustHRの原点になっています。当時の先輩には今も心から感謝しています。
大手社会保険労務士事務所へ
2年の実務経験を積み、社労士のいろはを覚え始めた頃。
私はもっと広い世界に挑戦してみたいと思うようになりました。
お世話になった東京の事務所へ別れを告げ、次に就職したのは愛知県にある社労士事務所。社労士界でも有名な事務所でした。
愛知県の事務所では、東京時代に教わった基礎を元に、コンサルティングからプレゼンテーション、執筆まで幅広い経験をさせていただきました。
社労士としての経験、実績、自信が身についた頃。
「私たち社労士の仕事で、依頼してくれたお客さんは本当に楽になっているのだろうか・・・」
なぜか、そんな違和感から抜け出せなくなってしまったのです。
社会保険労務士として法的なアドバイスは自信を持ってできる、規程類も整備できる、ですがそれだけでした。
会社は働く人がいてはじめて成り立ちます。
会社によって、背景があり悩みがあります。
・人間関係
・会社の実態、背景etc・・・
相談を受けた経営者様が、社労士のアドバイスを実施することは容易いことではありません。新しい人事システムを導入するだけでも、賛成意見があれば、必ず反対意見があります。組織を動かすとがどれだけ難しいことか・・・。
だけど当時の社労士仲間の多くが「改善できないのは依頼者側の努力が足りないからだ」と声をあげて笑うのです。
これは、おかしなことだと思いました。
だって、一般的な社労士は会社を経営した経験も、人事労務担当として苦労をした経験もないのですから。
社労士ができるのは、あくまでアドバイス。支援にすぎません。実施するのはいつもお客様なのです。
経験がない者に、本質的な支援はできない。
「だったら自分が経験しよう!」
そして・・・
社労士から人事総務部長に転身!?
「社会保険労務士試験」の募集要項を見たあの日から、社労士道一筋だった私に二度目の転機が訪れました。まもなくして、私は愛知県の社労士事務所を退職し、大阪で仮想通貨を取り扱う会社に入社しました。
私の担当は人事総務部長。社労士になってはじめて、社内の人事労務を担当する立場、つまり「お客様」の立場を経験したのです。
「私たち社労士の仕事で、依頼してくれたお客さんは本当に楽になっているのだろうか・・・」
2つ目の事務所で私が感じていた違和感は、確信に変わりました。
・顧問社労士からの杓子定規なアドバイスでは、何一つ解決しない様々な課題
・現場の状況をわかってもらえないもどかしさ
物事は白か黒では解決できない。
人事労務の顧問業務というものは、会社で実施できて初めて意味がある。
社労士側の理想だけでなく、会社側の実情や実態を踏まえて一緒に考え歩んでくれる社労士が必要だと身を以て体感したのです。
この経験は、社会保険労務士法人AdjustHRのミッションの原点になっています。
社労士だけでは知ることのなかった、Web、UI、UXなどエンジニアの世界は、アナログだった私に、新しい選択肢を与えてくれました。
クラウドやインターネットを使った、業務の効率化。
社会保険労務士法人AdjustHRのミッション「シンプルで美しい人事労務」は人事総務部長時代の経験がベースになっています。
目まぐるしく変化する現代だからこそ
「広い視野をもつこと」
「新しい世界を自ら経験すること」
「労務で悩む企業をゼロにする」
2019年 社会保険労務士法人AdjustHR誕生
2019年、春。
気がつけば、私はまた社労士の世界に戻っていました。
・シンプルで美しい人事労務
・従業員以上の専門性を持ちつつ、常に顧客事業へのコミットを目指す
「労務で悩む企業をゼロにする」という大きなミッションを掲げて・・・
社会保険労務士法人AdjustHR、誕生のお話です。
そして3年が経った2022年、夏。
社会保険労務士法人AdjustHRの創業から3年後をお伝えします。
創業から3年経った今。
事務所やメンバーなどハード面の変化
創業時は前職の仲間と一緒に起業。大阪市内のコワーキングスペースで事業を営んでおり、身内に近しい環境で仕事をしている状態でした。
その後、入社される社員の中に、過去の同僚や後輩もおり、また採用求人から出会う方もあり、色んな人が集う職場に変わりました。
オフィスも4回の引っ越しを経験し、今は14名分の机と、会議室・休憩室がある環境に変わりました。
当初はなかった冷蔵庫や電子レンジ、休憩用のソファ、レーザー複合機なども整い、本格的な事務所になったなという気持ちです。
モットーや大切にしていることなどソフト面の変化
以前は、私が前職までの経験で学んできた知識や大切にしたいと考えてきたこと(=シンプルで美しい人事労務)を、顧問先に提供する仕事の方向性や合理性、社内の社員育成においても大切にしていました。
一方で、創業してから3年間、様々な顧問先の経営者や責任者の方々とお仕事をさせていただき、また様々な考え方をもつ社員の入社もあり、人事労務の難しさを改めて実感。
現在は、初心に帰り「誠実に聴く」ということを大切にし、自分の能力を過信したり、一方的な仕事をすることなく、「顧問先」「弊社社員」「社会」をしっかり捉えた仕事をするように心がけています。
改めて、AdjustHRが仕事の上で大切にしていること
弊社のミッション・ビジョンは、「雇用にかかわる全ての人を幸せにしたい」
そのために「気軽に相談できる人事労務の専門家集団になる」ことです。
そのために、「聴く姿勢」を大切にしています。
技術や能力、法的な知識なども大切ですが、顧問先にもおいても、社内においても、AdjustHRの文化において「聴く」ということを大切にし、まず可能な限り広く深く物事の理解に務めています。
創業からこれまでの実績
契約数や伸び率
1年目20社、2年目40社、3年目60社、現時点で70社というペースです。
毎年20社ずつ増加しているイメージです。
スタッフの人数
1年目2名、2年目3名、3年目7名、現時点10名というペースです。
講演会・セミナー・イベントなどの登壇実績
2022年6月26日 | 京都府臨床心理士会 テーマ:「働く」ということを理解する |
2022年5月30日 | SmartHR主催 いま知っておきたい人事労務トピック-キャリアアップ助成金の変更点- |
2021年4月6日 | DX推進コミュニティ「第3回 雲カフェ」大阪エリア中小企業の働き方改革についてのウェビナー(スマートキャンプ株式会社様主催) |
2021年2月2日 | 年末調整ついてのウェビナー(株式会社マネーフォワード様主催) |
2020年11月27日 | 月間150時間の業務効率化!労務・給与・勤怠 クラウド活用セミナー(SmartHR×AKASHI×Money Forwardクラウド 共催) |
2020年10月13日 | 雇用保険・社会保険の電子申請(e-gov、マネーフォワード社会保険)についてのウェビナー(株式会社マネーフォワード様主催) |
2020年10月2日 | 年末調整についてのウェビナー(株式会社マネーフォワード様主催) |
2020年8月27日 | 雇用保険・社会保険の電子申請(e-gov、マネーフォワード社会保険)についてのウェビナー(株式会社マネーフォワード様主催) |
2020年6月24日 | 雇用保険・社会保険の電子申請(e-gov、マネーフォワード社会保険)についてのウェビナー(株式会社マネーフォワード様主催) |
2020年5月28日 | テレワークや時差出勤における労働時間管理についてのウェビナー(株式会社マネーフォワード様主催) |
2020年5月20日 | 雇用保険・社会保険の電子申請(e-gov、マネーフォワード社会保険)についてのウェビナー(株式会社マネーフォワード様主催) |
2020年2月28日 | クラウドの連携(マネーフォワード給与✕Akashi✕SmartHR 共催)についての講演 |
創業からこれまでの代表的な案件
創業時から複数の企業様において、社会保険労務士として、顧問業務に加えて人事労務業務の支援に携わらせていただいております。
これは、AdjustHRの社労士知識 ✕ 人事労務経験 ✕ IT知識により、よりシンプルで美しい人事労務を作る支援です。
また、最近ではIPOにかかわる労務監査や監査時の予防として弊社が人事労務支援やアウトソーシングを受注するケースも多いです。
特に印象に残っている案件
創業当時から業務を受注している、いくつかの企業様での出来事が印象に残っています。
当時コロナ禍の前ということもあり、人事労務支援として私自身が労務マネージャー的なポジションで実際に中に入って仕事をしていました。社会保険労務士は労働法の専門家ですが、実際に内部に入って従業員対応を含む人事労務業務を代行するケースは少ないです。
内部と外部の狭間にあり、自身の専門家としての立ち位置、経営者や責任者との関係性、人事労務実務は外野の専門家の合理的な意見のみではうまくいかない、という点をなど含めて、現在のAdjustHRの人事労務業の支援における深い教訓を得ました。
最近特にこんな相談や依頼が多い、増えていることなどの変化
やはり、SmartHRやマネーフォワード、King of Time(Touch on Time)いった、労務管理・給与計算・勤怠管理のクラウドツールの導入を含む支援の相談が多いです。
但し、AdjustHRが受任するケースにおいては、導入は別会社が行ったが、継続的な運用支援がなく、その後に問題が出たので切り替えたい、というご相談があります。
また、導入や継続運用の整備をする中で、簡易な労務の監査を実施し、問題点について対応をさせていただくという流れも増えています。
加えて、IPOやM&A、PMIといった専門知識とボリュームを要する仕事も増えています。
これらは、労務顧問の品質を確認いただいた顧問先やパートナーの皆様から、次の相談としていただくケースが多く、現在AdjustHRで経験を重ね、ノウハウを蓄積し、業務として確立し、市場に信頼感をもってアピールできるように進めています。
今改めて、AdjustHRの得意分野・強み・
お客さまに喜んでもらっていると感じていること
AdjustHRの強みは何より「聴く」姿勢と、聞いたことを「実現できる能力とノウハウ」です。
我々は3年6ヶ月、常に既存の能力や業務を提供する姿勢ではなく、新たな業務を開拓し、必要な知識を身に着け、それを社内で展開して広くサービスとして提供する力を培ってきました。
必要があれば、外部の専門家とも連携し、顧問先のニーズに応えます。
また、「ブレない」点を喜んでいただいております。
営業中心や助成金中心、またアウトソーシング重視で、合理的といえない回答をする専門家も多いですが、我々は社員を含め、「必要なことを具体的に伝える」スタンスです。
特にIPO等で労務リスクを下げたい顧問先においては、全体的に俯瞰して必要な「判断」まで入る仕事をしている弊社の姿勢に、一定の信頼や評価をいただいております。
また、労務周りを中心に多くのクラウドシステムの導入や運用支援、また海外系を含むチャットやナレッジ管理、タスク管理、請求管理などのシステムの合理的な運用にも一定の知識や経験があり、この点も他社と差別化して、興味を持っていただけるポイントです。
導入や継続運用の整備をする中で、簡易な労務の監査を実施し、問題点について対応をさせていただくという流れも増えています。
加えて、IPOやM&A、PMIといった専門知識とボリュームを要する仕事も増えています。
会社の考え方として、社員によく伝えていること
AdjustHRの社員は、その多くが元々社会保険労務士業務の未経験者です。それ自体が業務に大きな支障があるとは思っていません。
但し、「聴く」ということを忘れ、自分の能力に慢心したり、相手の望みとかけ離れた、もしくはコミュニケーション不全の業務をすることは、相手の幸せにつながらないと伝えています。
また、経営者や責任者の見ている世界を全て推し量ることはできないので、一見合理性の無い依頼でも、それをAdjustHRのバリューの冒頭にある「すべての相談者は、善良な気持ちがあり相談していると捉える」ということを常に伝えています。
今後の方向性、目指していきたいところ
創業4年目から6年目までの3年間において、社内体制を充実させ、AdjustHRのサービスを代表の中野に依拠するものではなく、AdjustHRという会社に依拠するものに変えていくことを目指しています。
その中で、社員の増員はもとより、社員の品質向上や適正な就業環境、見合った賃金が提供できるようにし、単に能力を叩き上げるというのみではなく、内外からAdjustHRで働くことで、社労士として誇りを持った仕事ができる、という存在にしていきたいと思っています。
社員なくして、多くの顧問先に対して良い仕事はできませんから。
今後ともAdjustHRを、どうぞよろしくお願いいたします。